『ゆるい繋がりのソーシャル要素について』配信ダイジェスト

By
大井いちひと
May 1, 2026

2026/04/26 配信の「みにげむ」を掻い摘んだ、10分ほどで読めるダイジェストです。(2026/05/25に note より転載。)

【背景】配信の数日前に『Tides of Tomorrow』(Digixart, 2026. 以下『ToT』)が発売され、めがぬがプレイした。ヘッダー画像の背景は『Death Stranding』(Kojima Productions, 2019)。

『Tides of Tomorrow』の感想

◎めがぬ(以下め): 最近、『Road 96』(DigixArt, 2021)開発元の新作、『Tides of Tomorrow』というアドベンチャー・ゲームをやったんです。システムが独特で、他のプレイヤーが取った選択肢によって自分の世界も影響を受けるんです。設定として、プレイヤー・キャラクター達はみんな特殊な種族で、他のプレイヤーによる選択は同じ場所で同じ種族が先に取った行動ということになってるんですよ。「前の誰々さんはここで何々してくれた。」「誰々さんはここを修理してくれたから村が助かった。」みたいな感じで、同じ種族の自分にもちょっと友好的になってくれるんです。逆に、他のプレイヤーが何か悪いことをした後とかだと、「あいつは何もしてくれなかった。お前も同じだろ。」みたいな。

▧大井いちひと(以下大): ああ、なるほど。人種で十把一絡げに同じ扱いを受ける、と。

◎め: で、プレイヤーキャラは「幻視」っていう能力を持っていて、過去に前の人が取った選択が見えるんですよ。例えば、パズルでどれを選択する?みたいなことが。

▧大: それは統計的に?

◎め: いや、特定の誰か。一人を選んでフォローするんですよ。その人が取った選択肢が見えます。

◎め: それで、結果から言うとあんまり面白いと思えなかったんです。なんでかって言うと、(1)前のプレイヤー、(2)自分、(3)自分が物資を残したりできる次のプレイヤーと、自分が見えてる範囲内だけでも三人が同じことを繰り返すわけですよ。それに対して NPC たちが同じ反応をしていることが、すごい茶番に感じちゃって。遊園地のアトラクションに並んで順番に入っているみたいな感覚が強かった。

▧大: あー、はいはいはい。

◎め: しかも、本当に重要な、例えば人が死ぬような場面はパラレル・ワールド扱いになって、前後の人に影響は与えませんっていう風になってて。

▧大: それは、どういう扱いなんだ?よくわからない世界になってきたな。

◎め: そう、そこら辺の扱いもちょっと雑というか、最後まで説明もあんまり無いんですよ。

▧大: 単純に「ゲームだから。」と。

◎め: というか、まぁ、「新しいメカニクスを試してみてます。」って感じ。それが先行しすぎて、他のものが追いついてないかなって思っちゃいました。あと、例えば「秘密の場所にたどり着いた!」みたいな展開になっても、実際には前のプレイヤーが来てる訳ですよ。それも先に攻略されてしまっている感が強くて。

▧大: 最初の触れ込みでは、そもそもストーリーライン自体が他のプレイヤーの影響を受けて変わるのかな?とか想像してたんですけど――

◎め: ――変わりはするんです。変わりはするんですけど、変わった先でまた別の人をフォローするだけで、結局どこまでも前に人が居るんですよ。

▧大: それだと、だんだん同じ選択肢を取る、同じ発想をする人同士がフォローし合う可能性が高くなっていきそう…。発想としては、 Quantic Dream の『Detroit: Become Human』(2018)を更にインタラクティブにしたみたいなイメージを持っていたけど、かえってそれが「自分だけの物語」感を損ねてしまっている、と。

越えないでほしい一線

◎め: 『ToT』をやって思ったのが、ゆるい繋がりをつくるゲームっていっぱいあると思うし、僕も別に嫌いじゃなかったんですけど、越えないでほしい一線があるなと思いました。端的に言うと、自分の世界に影響を与えないでほしい。

▧大: はいはいはい。なんとなくはわかるけど、あえて変なことを言ってみると、普通のマルチプレイ・ゲームは完全にその一線を越えてるけど気にならないと思うんですが、その辺はどうですか?

◎め: それはソロプレイ・ゲームとして遊んでないから、ですよね。なんかまた別なんですよ。それに、そもそも僕はマルチプレイにしても野良と遊ぶのはそんなに好きじゃないから、それも本当は多少気になる。

▧大: 「知り合い」は自分の領域を侵されている感じがないから、気にならないってこと?

◎め: なのかな?どうなんでしょうね…。ただ、もし『ToT』で知ってる人をフォローできていたら面白さは全然違ったと思う。次の人も、知ってる人がプレイしてるなら物資残しとこうって気にもなるし、変な選択肢取って驚かしたろ、とかがあったかも。

▧大: あ、そこも知り合いかどうかで結構変わるのか。

◎め: なぜ野良は駄目で知り合いは良いのか、言語化しろと言われるとちょっと難しい。感覚的にはわかりやすいと思いますけど。

▧大: 相手の反応を見られないってのが大きいのかな。

◎め: たしかに。例えば大井さんの後に続いて僕がやるにしても、後日大井さんとああだこうだ言って笑うのが面白いのであって、というのはある。

▧大: だから、プレイしている瞬間では違いはなさそう、と思った。最終的な評価は良くなるかもしれないけど。やること自体は、フォロー相手を知っていようが知っていまいが、同じ話をなぞっている感は変わらなさそうだし。

ソーシャル要素いろいろ

◎め: ゆるい繋がりのゲームっていっぱいあって――

▧大: うん――と言いつつ、僕がやったことあるのは『Death Stranding』(Kojima Productions, 2019. 以下『DS』)くらいかなぁ。

◎め: いや、多分気づいてないっていうか、忘れてるだけで、細かい要素を見ると結構あると思いますよ。例えば、写真が共有されるとか。『Assassin's Creed』シリーズ(Ubisoft, 2007-2026)がやってますよね。

マップ上で共有される写真 [5]

▧大: 写真共有は『Need for Speed』(Ghost Games, 2015)でもやってたかな…?あと、「ゆるい」判定されるかわからないけど、オープンワールドで知らないプレイヤーが走ってたりもしてた。基本的にはお互い関わらないけど、みたいな。

◎め: 賑やかし要員。『Diablo IV』(Blizzard Entertainment, Inc., 2023)でも周りで人がウロウロしてるじゃないですか――

▧大: いやでも、それは MMO (Massively Multiplayer Online)と呼ぶべきか?

◎め: ――色々あるとは思うんですけど、やっぱり僕はその程度に留めといて欲しいなって思いますね。

チャット: フロムゲーとか [^1]

◎め: あ、そうですね。『Dark Souls』(FromSoftware, 2011)のサインとか。

公式サイト「コンセプト」ページ [9] より

▧大: あー、僕ちょっとあれ苦手かも。

◎め: どういう意味で、ですか?

▧大: 殺伐として孤独な雰囲気を崩されてる感じがして。しかも、それが善意によるアドバイスの場合もあれば、騙される可能性もありそう……とか、そういうところにまで考えが及んでいくけど、それを僕は楽しめないタイプ。だから、僕は逆に相手の反応とか気持ちが伝わってくるソーシャル要素は苦手かも。

◎め: 例えば?

▧大: 『DS』だと、「頑張れ!」みたいな看板を立てられる。あれ、嫌いだったな…。しかも、人がよく通るところには、やたらいっぱい立つんですよ。正直、「うるさいな…。」みたいな。

◎め: (苦笑)

▧大: 一方で、梯子とかはありがたいなって思うし。

◎め: 梯子こそ、僕の中では一線越えてるんですよね。

▧大: 逆にね。たしかに、梯子のほうがゲームプレイに干渉してきてるから。対照的な感想ですね。僕は梯子が好きで看板が苦手だけど、めがぬさんはどちらかというと梯子が苦手で看板は気にならない、と。

◎め: 「一線」がある上で、僕は多分、基本的に知らない人に興味がないんでしょうね。他の人は、僕が思うよりも知らない人との交流を楽しんでる…のかな?

▧大: まー、でもひとくちに交流と言っても、各々どこかしら「一線」というか、越えると一気に「無理です。」ってなるラインがありそうな気はする。いわゆるパーソナル・スペース。例えば、「野良でチームを組むのは良いけど、ボイスチャットは無理。」みたいな。

◎め: 野良と組むぐらいなら、僕はボイスチャットしたいですね。喋るまでいったら、「知らない人」から「知り合い」にランクが上がるんですよ。

▧大: あ、そうなんだ。そう考えると、逆に僕は「知らない人」で居て欲しい……というか、自分を知られたくないのかな――ま、面白いですね。単純な距離感の近い~遠いだけではない、別の軸がありそう。

[^1]: 配信 00:19:16 ごろ。

マルチプレイとの呼び分け

◎め: マルチゲームと、ゆるい繋がりのソーシャル要素って、線引きが難しい。例えば、『風の旅ビト』(thatgamecompany, 2012)ってコミュニケーション取れないけど、一応リアルタイムで繋がってる訳じゃないですか。だから、どちらかというとゆるい――この「ゆるい繋がりのソーシャル要素」って、何て言えばいいんでしょうね。

▧大: 非同期かどうか?完全に同期してるのはマルチプレイ・ゲームで、非同期で各々の行動がサーバーにアップロードされて後に反映されるみたいなものを「ゆるい繋がりのソーシャル要素」って呼べば良いのかな……って思ってたんですけど、『風の旅ビト』の話が出てきちゃったから扱いに困るな。

◎め: 線引きが曖昧ですよね。ま、曖昧も何も、そもそもこういうものに対して名前がない。

▧大: いわゆる「ソシャゲ」が、名前の通り「ソーシャル・ゲーム」だから、これに該当しそうな気はするんですけど――

◎め: 「ソーシャル・ゲーム」はさすがに違うんじゃないですか?今やソシャゲ = スマホゲーでしょ。

▧大: でもほら、今のスマホゲーは普通に PC 版とか PS 版とか出てるから、もはや「スマホ」ゲーとも言い切れないし。

◎め: うーん。まぁ、マルチプラットフォームだとそうか。ソシャゲってのも、もうそろそろ言わなくなるかもしれないですね。とはいえやっぱり、基本無料で、ガチャなり何なりがあって、人からキャラを借りられるって意味でゆるい繋がりがあるゲームがソシャゲっていうイメージは強いですけど。

▧大: なんとなく、そういう複数の条件をもって似たようなゲームと見ている感じ。

◎め: 「ソシャゲ」「スマホゲー」みたいな言葉が先にあるせいで、今回の「ゆるい繋がりのソーシャル要素」に当てはまる言葉が無い。そういう意味で、『DS』だと「Social Strand System」(SSS) [^2] って呼んでましたけど、「非同期型マルチプレイ」 [^3] と書いているところもあったから、ほぼほぼ「非同期型マルチプレイ」と言っても良さそう。『風の旅ビト』が例外になりますけど。

▧大: 当然、その括りからはみ出るものもありそうだけど、大まかに括るなら「非同期かどうか」は必要十分条件としてちょうど良さそうな気はする。

◎め: 「非同期対戦」、例えば『Backpack Battles』(PlayWithFurcifer, 2025. 以下『BPB』)とかも「ゆるい」系になるんですかね?

▧大: そうです、ね……ただ、「対戦」となると「ソーシャル」感が無くなりません?普通、殴り合ってる環境を「ソーシャル」とは呼ばないからかな。

◎め: うん。「ソーシャル」とは言わないですね。だから非同期に加えて「相互作用」も重要じゃないですか?例えば『DS』なら、橋を置くだけじゃなくて、「いいね👍️」が返ってくるってのが大事。一方で、『BPB』の対戦とかって、相手のビルドと戦って、それで終わりじゃないですか。それは「ソーシャル」として薄いと思う。

▧大: お互いに削り合って終わりで、新たに何か価値を生み出している感じがないってこと?価値って言うと、ちょっと仰々しいかもしれないですけど。「何かできないことができるようになった。」とか「いいねポイントがもらえた。」とか。幸福の総量みたいなものが増えてると「ソーシャル」感が増すのかな?

◎め: それはちょっとよくわかんないけど(苦笑)――単純に、何か「やり取り」してる感覚が少しでもあれば「ソーシャル」かなって。「こっちが何かをやる。向こうが何かを返す。」

▧大: 「肉体言語」は「やり取り」と呼ばない?

◎め: いや肉体言語も、向こうが選択したものが返ってくるならいいと思うんですけど、非同期対戦だと最初にお出しされたものだけじゃないですか。なんか一方向すぎるかなって。

▧大: 仮に『Backpack Battles 2』みたいなものが出たとして、自分が倒した相手から三日後にリベンジの果たし状が送られてくる、みたいなものがあったらどうでしょうね?非同期だから、時間は空いちゃいますけど。

◎め: 勝った相手のことは別に覚えてないからな……むしろ負けた相手にもう一度……いや、どっちみち一方向だな。難しい。対戦で「ゆるい繋がり」は難しい。その方向で進めても、ただの対戦ゲームになっちゃう。今のままで良いと思います。

[^2]: 公式サイト [11] より。「ソーシャル・ストランド・システム:プレイヤーが建てた橋、架けたハシゴ、落とした荷物などが、時に、他のプレイヤーの世界と繋がり、役立ち、手助けしてくれる。プレイヤー自身のゲームプレイが誰かと繋がり助け合い、その繋がりや貢献に対し互いに感謝を伝え合うという、DEATH STRANDING オリジナルのゲームシステムです。」

[^3]: PlayStation特設ページ [12] 「よるある質問」より。「Q. 本作はマルチプレイに対応していますか? A. 『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』は前作同様、非同期型マルチプレイに対応しています。」


配信本編

この話のつづき、配信本編はこちら。

出典

  1. “Tides of Tomorrow,” THQ NORDIC, 2026. https://tidesoftomorrow.thqnordic.com/ (accessed Apr. 27, 2026).
  2. “ROAD 96.” https://road96.com/ (accessed Apr. 27, 2026).
  3. “Detroit: Become Human,” Quantic Dream, 2018. https://www.quanticdream.com/en/detroit-become-human (accessed Apr. 27, 2026).
  4. “「アサシン クリード」シリーズ,” Ubisoft, 2026. https://www.ubisoft.com/ja-jp/game/assassins-creed (accessed Apr. 27, 2026).
  5. Kyrie, “Assassin’s Creed Origins プレイ記4,” FC2, 2018. http://geisterfahrer.blog.fc2.com/blog-entry-329.html (accessed Apr. 27, 2026).
  6. “スクリーンショット・プロについて,” Electronic Arts Inc., Feb. 2016. https://www.ea.com/ja-jp/news/snapshot-pro (accessed Apr. 27, 2026).
  7. “ディアブロ IV,” Blizzard.com, 2026. https://diablo4.blizzard.com/ja-jp/ (accessed Apr. 27, 2026).
  8. “DARK SOULS,” DARK SOULS Series Site, 2026. https://www.darksouls.jp/detail_ds1.html (accessed Apr. 27, 2026).
  9. “Concept,” DARK SOULS Series Site, 2026. https://www.darksouls.jp/concept.html (accessed Apr. 27, 2026).
  10. “Journey,” thatgamecompany, July 10, 2017. https://thatgamecompany.com/journey/ (accessed Apr. 27, 2026).
  11. “東部エリア活性化大作戦,” Kojima Productions, 2022. https://www.kojimaproductions.jp/ja/Explore_the_Eastern_Region (accessed Apr. 27, 2026).
  12. “DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH,” PlayStation, 2024. https://www.playstation.com/ja-jp/games/death-stranding-2-on-the-beach/ (accessed Apr. 27, 2026).
  13. “バックパック・バトル,” Steam, 2026. https://store.steampowered.com/app/2427700 (accessed Apr. 27, 2026).

参考用に YouTube の自動文字起こし機能を使用していますが、それ以外の要約・編集には生成 AI を使用していません。